2021年5月15日土曜日

たとえ話

最近、YouTube で何の動画を見たからなのか、高校数学と大学数学のギャップについて語っている動画をおすすめされることがある。 何本か見てみたが、高校まで数学が好きでそのまま大学の数学科に進むと、思っていたのと違うというような経験をするものらしい。 私自身はそういうタイプではなかったので、こういうことなんじゃないの、と傍観者的に思ったことを書いてみたい。

数学をサッカーにたとえてみると、ボールに親しもうという子供時代から少しずつ難しい技術を覚えて、 高校ではミニゲームが主な練習になっている、というような成長段階なんだと思う。 そして高校数学が好きというタイプはそのミニゲームで得点を取るのが上手な子だったりするのだろう。

大学の数学で、初めてフルコートでサッカーをする感じになる。 そのためにもう一回ルールをおさらいして、フルコートを走り回れる体力を付け、ロングボールを蹴れるようになるといった今まで必要なかった能力も要求され、フリーキックに対し壁を作るといった新しいテクニックを身につける必要が出てくる。 そして、FW・MF・DF といったポジションごとに違った思考をするようになる。

たとえが先行しすぎて数学の話に聞こえなくなってきたかもしれないが、論理や集合論といった基本を復習して、長い証明を読み書きする力を身に付け、分野を横断するような発想を理解するように要求され、今まで使わなかったような語彙を習得しないといけない、というようなことだ。 そして、解析・幾何・代数といった分野ごとに特有のスタイルを知っていくことになる。

要するに、高校数学が数学だと思っていたら大学数学にギャップを感じるというのは、ミニゲームがサッカーだと思っていたらフルコートに面食らうだろう、というぐらい当然な現象なのだ。 そして大学で勉強する数学もフルコートで行うとは言え所詮練習に過ぎず、本当に試合をするのは研究と名前が変わってからだと言って良いだろう。 教授達は試合をするプロのプレイヤーなのだが、試合の様子をなかなか覗くことができないのがちょっとイメージしづらくさせている部分かと思う。 とりあえず適当なノンフィクション的なものなんかを読んでみて世界観を漠然とでも掴んでから数学を志した方がいいのかも。 ミニゲームでの巧さはそれなりのセンスを意味するだろうから恐れずに進んでいって欲しいとは思う。

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