2021年3月12日金曜日

植木算?

英語で(イギリス英語でかな)階数の数え方は日本語の1階が ground floor、2階が first floor、以下同様に直訳すると1階ずつずれた感じがする。 最初に聞いたときはおかしな数え方だと思ったが、 「0 は自然数」派として今やイギリス人がうらやましくすら感じる。

地下は地下1階から数えるので、日本語には0階は存在しない。 地下\(n\)階を\(-n\)階と感覚的には置き換えて計算したいが、普通の整数として計算できない。 イギリス人がさらにうらやましくなる。

同様の関係は西暦1年と紀元前1年にも現れる。 洋の東西を問わず、というかこれはヨーロッパのものだ。

今回はこういうのを無理矢理解釈してみたい。 1 と -1 が隣り合わせに並ぶ現象がなぜ発生するのか、だ。

実際のところ、マイナスだと思うからおかしく見えるだけだ。 地上1階と地下1階は別々のものをそれぞれ1から数えている。 西暦1年と紀元前1年は別々のものをそれぞれ1から数えている。 隣接はしていても連続はしていないのだ。 一体の整数という描像が後からの押しつけなのだ。

そうは言ってもどこかに 0 を見出したい。 一体の整数という描像からどうにか理解したい、という気持ちも無視できない。 そして実際可能である。 0 は -1 と 1 の間にある。 ただし質の違うものとして。

紀元前1年と西暦1年との間には年の変わる瞬間がある。 そこが 0 である。 年ではなく年の変わる瞬間の列に一体の整数を見出すことができる。

同じように階の変わる高さの列を地面を出発点として一体の整数とみれば、 その間に地上と地下の階がある。

言うなれば植木算である。 年の変わる瞬間が5回あったら、その間は何年間ですか? というような。

余談: 今回は割と 1 から自然数を始める気持ちに寄り添って説明してみたけど、やっぱり面倒くさいので新しく暦を始めるときは 0 年始まりにして計算しやすくしてください。 たとえば1970年をUNIX暦0年とするのは賛同してくれる人が多いかと期待している。