2018年5月22日火曜日

接続行列

昔書いた論文 (末尾参照) の前半部分は何だか無駄が多かったような気がふいに湧いてきました。

無向グラフの接続行列を考えます。 辺 \(e_j\) が頂点 \(v_{i}\) と \(v_{i'}\) に接続しているとき、\(i,j\) 成分と \(i',j\) 成分に \(1\) が入り、 \(j\) 列目の残りの成分は \(0\) となるような行列です。

接続行列の核、つまりこの接続行列を(\(\mathbb{Q}\) 上)線型写像だと思った時の核は、長さが偶数の閉じた道に対応します。 ここでいう「道」は、同じ頂点や辺を通ってもいいけど同一の辺への折り返しは無し、です。 なぜそうなるかは、核が「辺に数を割り当てたときに接続する各頂点上で和が 0 になるものを集めたもの」だからです。 たとえば長さが偶数しか出てこないのは正と負がバランスするためだし、折り返しができないのは折り返しの前後の同じ辺に正と負を同時には割り振れないからです。

というようなことが、グラフ理論の本にはなかなか出てこないような気がして一応書いています(もちろん知られている議論です)。 \(\mathbb{F}_2\) 上での核がサイクルに対応します、みたいな命題は見ますが。

次に、ハイパーグラフで同じように考えます。 接続行列・頂点・辺という用語をそのまま流用します。 ハイパーグラフの接続行列とは、辺 \(e_j\) が頂点 \(v_{i_0}, \ldots, v_{i_k}\) に接続しているとき、\(i_0,j\) 成分, \(\ldots\), \(i_k,j\) 成分に \(1\) が入り、 \(j\) 列目の残りの成分は \(0\) となるような行列です。

考えたいハイパーグラフは、無向グラフの共通頂点を持たない奇サイクル二つを合わせたものを一つの辺として追加したようなものです。 この辺に \(2\) を割り当てて、元にした奇サイクル上の辺にそれぞれ \(-1\) を割り当てるとハイパーグラフの接続行列の核に入ります。 いわばこの関係が追加する辺の定義です。 他にも追加した辺に関わる関係式が「接続行列の核を計算するだけで」手に入ります。 グラフに対する閉じた道のような一言で説明できる何かに対応しているわけではないですが、議論は完全に同じように進みます。

論文ではこういう方法を採らずに多項式の用語で、生成系に入る二項式の形を挙げていってこれで十分、みたいなことをやっていました。

Matsui, T. "Ehrhart Series for Connected Simple Graphs" Graphs and Combinatorics (2013) 29: 617. https://doi.org/10.1007/s00373-011-1126-y

2018年5月6日日曜日

メンテナンス

久しぶりにこのブログのテーマ設定を開いたらいつの間にか「モバイル」という別設定ができていて、MathJax がモバイルでは効いていないことが発覚したので修正した。 まず、モバイルのテーマを「カスタム」にする(多分それ以外の方法だとタグを埋め込めない)。 「HTML編集」で MathJax の読み込み用タグを(いつの間にかできていた)モバイルとの条件分岐の外に出す(非モバイルのブロックに入れられていたので)。 以上。

ついでに MathJax の CDN も一年遅れで cdnjs に移行した。

2018年5月4日金曜日

肩掛けスピーカーを買ってみた

前回の続き、と言えなくもない。

Mac mini の一番の不満点は、音がしょぼいこと。 今までの MacBook Air では内蔵スピーカーの音で特に不満なく過ごしていたのだが、 Mac mini では音楽を聴くためにスピーカーが欲しいと思ってしまった。

据え置き式のスピーカーとか、ヘッドホンとか、選択肢はいろいろあるが、 場所をとらないし耳に接触しない今流行の肩掛けスピーカーにしてみた。 買ったのは JBL Soundgear というやつ。 4月下旬に出たばかりで、だいたい2万円。

使用してみた感想としては、長短相半ば、といったところ。

  1. 首から上に直接接触しないので不快感が無い。が、長時間使うと若干肩がこる。
  2. 立ち上がったり寝そべったり自由に動ける。が、少し離れると音飛びする。
  3. 電源ON/OFF時に鳴る通知音がうるさい。ボリュームを絞れないのはどうかしている。

2番目の点に関して、ワイアレストランスミッターというのを挟んでみた。 これはイヤホンジャックの音を Bluetooth で飛ばしてくれるというもの。 TaoTronics という中国メーカーのやつ(Soundgear にトランスミッター付きのもあったみたいだけど買うときは気づかなかった)。 だいたい3千円。 直接 Mac mini の Bluetooth から受けていたときは、本当に音が途切れることがあったが、 これを挟むと同じぐらい離れてもアナログレコードのノイズみたいなのが時々鳴る程度までは改善する。 音楽を聴く用途としては、結局あまり嬉しくないわけではあるが。

さて、最後に音質の話。 といって、語れるほど音質にうるさいわけではないので、大まかな注意点的なものを少し。 最初小さめの音量で聞いていたら低音ばかり強調されて人の声などの中音域が沈んで聞こえたが、音量を上げたら割と自然な感じに聞こえた。 これが装置側の都合なのか、人間(私)の聴覚の問題なのか判らないが、音量の好みと音域のバランス感がかみ合わない可能性はある。 トランスミッターを使うときは、もしかしたら常識の範疇かもしれないが、トランスミッターの入力になるイヤホン出力は最大にして使うべき。 最初これに気付かずにくぐもった音になり首をひねった。