Twitter に書こうかと思ったが、ちょっと長くなるのでこっちに書くことにする。 「函数」が音訳というデマと、本当の語源 というブログ記事について ツイートされてるの を見た。 詳しい内容はリンクを辿って読んでみて欲しい。 その記事中の「函数」音訳説という部分で、引用されているものが意外と新しい1980年代以降のものなので、さすがにもっと古いだろう、と探してみた。 1. 武部良明「漢字の用法」(1976) このほか武部良明『漢字の用法』(角川書店1976)にも同様の記述があるという(未確認)。 とあって、たまたま同書(三版)を持っているので調べてみた。 「関数」ではなく「関・函」の項にあった。 「函」は「いれる」意味。 したがって、「函数」という漢字の組み合わせからは、「対応して定まる数」という意味は出てこない。 「函数」については function という原語の音 fun を、「函」の音カン(現代中国語 han)で写したものとされている。 これに対し現代表記の「関数」は、全体の意味を「かかりあう数」と考え、「函」の部分を、同音で「かかりあう」意味の「関」に書き換えたものである。 2. 遠山啓「関数を考える」(1972) 近所の図書館で見つけた。 会話体の文章の中で、先生役が言っている。 はっきりはわからないが, 中国語の発音では function と似ていて, しかも意味も近いらしいのだ. 3. 遠山啓「数学は変貌する」(1971) 2012年にちくま学芸文庫から出た「現代数学入門」所収。 「関数を考える」が中学生ぐらいを対象にしたシリーズの一冊なので、そこでいきなり初披露ということは無いだろうと見当をつけて遡って探した。 機能とは簡単にいうと働きです。 ライプニッツが初めてファンクションという言葉を使った. ライプニッツはドイツ人ですが, ドイツ語は当時はいなかの言葉みたいで, フランスが文化の中心であったから, フランス語で書いてありますので, フォンクション (fonction) です. もとは日本では「函数」, あとになって「関数」と改めたのです. なぜこんな函の数という妙な言葉を使ったか, これは中国からきた字です. 中国人は各国語を音まで似せて訳すことがうまい. フォンクションは中国語で函数を中国読みしますと非常に似ているのだそ...