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2025年の読書

読書メーターの記録 によるとマンガも入れて101冊。 久しぶりに年100冊に乗った。 前年からの勢いのままに菌類関係の本をいくつか読んだが深澤遊の「キノコとカビの生態学」「枯木ワンダーランド」は面白かった。 後半はファーブル昆虫記を読破した。岩波文庫の古い訳で読んだのが良かったのか良くなかったのか。 数学関係は、前半表現論の本を読んで表現とは加群のことであるという言葉で何だかすっきりした。 年の終わり近くはラングランズ予想というか楕円曲線と保型形式とガロワ表現とみたいな内容の本をいくつか。「ラングランズ予想」というそのものズバリなタイトルの本も出たのでその内読みたい。 マンガは、「ヴィンランド・サガ」も「アルテ」も「推しが武道館に行ってくれたら死ぬ」も完結して、読み続けるタイトルが少なくなってきた。

2024年の読書

読書メーターの記録 によるとマンガも入れて92冊。去年よりは少し増えた。 1月に「 となりの地衣類 」から始まり、地衣類を撮りたくてカメラも買ったし、そういう意味では地衣類づくしの1年だった。 一番見ていたのは「 街なかの地衣類ハンドブック 」。図書館で「 原色日本地衣植物図鑑 」を何回も借り出し、「 日本の地衣類ー630種ー携帯版 」も結局買ってしまった。 地衣類についての本はそんなに多く出版されていないので、おそらく(「日本の地衣類」のシリーズを除けば)一通り手に取ったはず。 その流れで菌類に関する本も多く読んだ。菌根の本「 菌根の世界 」「 もっと菌根の世界 」が印象に残っている。 もう一方の藻類については「 藻類30億年の自然誌 」がかなり面白かった。 残りの何を取り上げようかと考えてみたが、それほど特筆すべきものは浮かばなかった。マンガは続きを読み続けている(「 無能の鷹 8 」で意外にも完結したり、数年ぶりに「 さよならミニスカート 3 」が出たりはあった)。数学は、本当に読みたいものへの準備みたいな本を読んでいる。 ※本の題名に付いているリンクはamazonのアフィリエイトです。

2023年の読書

読書メーターの記録 によるとマンガを入れて78冊。 まあ去年と大差ない。 印象に残っているのは 「紋章学入門」「神田神保町書肆街考」という厚めのちくま学芸文庫、 「運動しても痩せないのはなぜか」 辺り。 数学では「グレブナー基底と代数多様体入門」は良い本だった。表現論の本には手を出して挫折、を繰り返していた感じ。 マンガでは継続して読んでいた「プリニウス」「重版出来」「ダンジョン飯」が完結したし、「フットボールネーション」や「アルテ」はそろそろ終わりそうな雰囲気になってきたので、この先は読む量がだんだん減りそう…いや「ぼっち・ざ・ろっく!」とか読み始めてしまったし、そんなことはないか。 YouTube きっかけは「冬虫夏草ハンドブック」があった。うごめ紀という生物系のチャンネルで紹介されていたもの。

(近所の)生物図鑑

ときどき、街で見掛けた生き物(主に植物と昆虫)の写真を撮って、これは何かな、などとウェブで検索する。 判ったら SNS に投げたりして。 判らなかったら、図書館で図鑑をめくったりもする。 ところで、そんなに行動範囲が広いわけではないので、たとえば23区内の生き物に絞った図鑑があったら事足りることが多そうだ。 そんな中、最近、「せたがや動物ガイド」という世田谷区が出していたガイドブックを古本で手に入れた。 「世田谷自然観察シリーズII」とあるので、きっと I は「せたがや植物ガイド」なのだろう。 そして忘れていたが、昔杉並区が出しているもっと薄い「すぎなみの植物」「すぎなみの鳥」「すぎなみの昆虫・クモ」も買ったことがあった。 ひょっとして、どの区も似たようなものを出していたりするだろうか。 あるいは、もっと全国的に? ということで調べてみた。 ようするにウェブで検索してみた、ということだが、引っかけるには若干のコツがあるようだ。 最初は検索のキーワードが判らず「図鑑」とか「ガイドブック」とか入れていたものの、全然(杉並区も世田谷区も)出てこない。 役所的にはこれらの本はそうやって分類される物ではなく、数ある刊行物の1つということで「刊行物」と入れると俄然引っかかるようになった。 自治体 タイトル 値段 リンク 江戸川区 野の花 春・夏 210円 トップページ > 区政情報 > 広報・広聴 > 報告書・刊行物 > 刊行物 > 江戸川区の自然(1)から(4) 野の花 秋・冬 210円 樹のはなし 210円 昆虫の博物誌 210円 葛飾区 葛飾区生きものガイドブック 1000円 トップページ >くらし・手続き >環境 >自然環境・自然観察 >「生きものガイドブック」を販売しております 葛飾の昆虫・クモ 1200円 葛飾の水辺の生き物 1200円 北区 北区植物ガイドブック 670円 ホーム > 区政情報 > 広報・広聴 > 区政資料室 刊行物一覧 北区野鳥ガイドブック 660円 北区小動物・昆虫ガイドブック 710円 ...

2022年の読書

いわゆる老眼というやつで文庫のルビとか数式の添え字とかが読みづらくなってしまって、読書量が減っていた。 夏頃に眼鏡を導入したが、それで読書量が戻ったかというと、そうでもないかもしれない。 読書メーターの記録 によるとマンガを入れて76冊。 マンガを除くと50冊程度だろう。 印象に残っている本は 「 カルロ・ロヴェッリの科学とは何か 」 「 詳説データベース 」 「ギリシア哲学者列伝( 上 中 下 )」 「 因果推論の科学 」 辺り。科学とは何かではアナクシマンドロスから説き起こされていたが、ギリシア哲学者列伝でのアナクシマンドロスの記載に無いこともいろいろ語られていて、別のソースが伝わった幸運なケースなのかもしれないと思ったり。詳説データベースはデータベースの実装方法の説明といった内容で、普段データベースはそこに有るものとして中身を余り考えない対象だが、知ればそれが何かの場面で役に立つこともあるだろう。最後の因果推論の科学は最近読んだ分厚い本なので、まだ新鮮(別の教科書を読んでみたいとは思った)。 今年も YouTube きっかけで読んだものがいくつかあって、 ウェザーニュースのキャスター檜山沙耶さんのエッセイ「 ブルーモーメント 」、 こはやし【古生物ちゃんねる】経由で「 クモはなぜ糸をつくるのか? 」 など。 ※本のリンクはamazonアフィリエイトです。

2021年の読書

例年のように、昨年の読書を振り返る。 読書メーターの記録 に依れば前年と同じくマンガも入れて100冊ぐらいだった。 案外、印象に残ったというほどの出会いは無かったような気がするが、 テーマ的に量子力学の本は何冊か読んでいた。 量子論の果てなき境界 、 実在とは何か 、 世界は関係でできている 、 量子力学10講 など。 入門 現代の量子力学 は読みかけで止まっている。 物理学と情報科学の関係がすっきりすれば自分の中では目的達成なのだが。 小説をあまり読まなくなって久しい。 そんな中、三体シリーズ( I 、 II上 、 II下 、 III上 、 III下 )と沢村凜のソナンと空人シリーズ( 1 、 2 、 3 、 4 )をどちらも一気読みした。 新しいきっかけとして、YouTube から、というものが何冊かあった。 Sabine hossenfelder の Lost In Math (日本語版「 数学に魅せられて、科学を見失う 」も出た)、 藤森哲也の 将棋放浪記 の他、 幾何学と代数系 を再読したのも Geometric Algebra の紹介動画を見たからだった。 2022年はどんな年になるだろうか。 ※本のリンクはamazonアフィリエイトです。

2020年の読書

昨年の読書を振り返る。 2020年は通勤という読書時間がなくなったので、前年よりさらに読書冊数が減少した。 読書メーターの記録 に依ればマンガも入れて100冊ぐらい。 以下、印象に残ったものをピックアップして紹介する。 新しく内田洋子という作家を知った。 立て続けに3冊読んだのが記憶にも残っている。 「 イタリアからイタリアへ 」「 モンテレッジォ 小さな村の旅する本屋の物語 」「 もうひとつのモンテレッジォの物語 」 題材はどれもイタリア。 科学的な本では、チャールズ・コケル「 生命進化の物理法則 」とスコット・アーロンソン「 デモクリトスと量子計算 」が印象に残った。 前者は、物理法則に従って最適な生命形態を探すと今ある生物の作りに落ち着くだろう、という主張が意外だった。 後者は、タイトルの訳が不思議な感じ("since Democritus" がなぜ"デモクリトスと"になるのやら)だが、計算量理論と物理学が量子力学を接点として繋がってくるわくわくする世界。 マンガは基本的に以前から読んでいる続き物を追っているだけだが、2020年は数年溜まっていた「OL進化論」がまとめて出たので5冊も読んだ。 ※本のリンクはamazonアフィリエイトです。

2019年の読書

恒例なので、去年読んだ本から記憶に残ったものを紹介する。 2019年は読んだ冊数が少なかった気がする。 2018年の後半にいくつか読んでいた数の体系の話は、2019年も少し引き続いた。 読んだ本で言うと高木貞治「 数の概念 」(最近 ブルーバックス でも出た)、足立恒雄「 フレーゲ・デデキント・ペアノを読む 」。 結局実数を成り立たせるように現在の数学ができているという確認に終わった。 科学系では生物の本も読んだように思うが、あまり記憶に残っていない。 インパクトが大きかったのは主に物理学で、特にカルロ・ロヴェッリ「 すごい物理学講義 」「 時間は存在しない 」。 単発では「 原子核から読み解く超新星爆発 」が印象に残っている。 その他のジャンルでは紀田順一郎「 蔵書一代 」は考えさせられた。 ※本のリンクはamazonアフィリエイトです。

定家本土佐日記

土左日記 という菓子を高知土産として会社に持ってきた人がいた。 そのパッケージに土佐日記の冒頭が書いてある。 男もすなる日記といふものを女もしてみむとてするなり、というあれ。 と思って字を追ってみたら、どうも違った。 おとこもすといふ日記という物をゝむなもして心みむとて…、みたいに書いてある。 そんな異本もあるのか、と思ってちょっとぐぐってみたら、定家本というのがそういう本文らしい。 定家本土佐日記 : 尊経閣叢刊. [本編] として国会図書館デジタルコレクションで見ることもできる。 一つ勉強になった。

2018年の読書

2019年が始まったので、2018年中に読んだ本の中から印象に残ったものを紹介する。 読書メーターの記録 によればマンガも入れて140冊程度読んだらしい。 科学系では生物の本が多かった。 「 CRISPR 」の世界への影響も気になるところだが、 「 タコの心身問題 」で沸き起こった頭足類への興味が目下のブーム。 「 新しい植物分類体系 」や 「 新たな魚類大系統 」などゲノム解析技術の進展とともに変わっていく分類学は読んでいて意外に飽きない。 数学では、年の前半に計算幾何学、後半に数の体系についての本を多く読んだ。 N.J.Wildberger「 Divine Proportions 」は幾何学から長さと角度を追放しようという試み(平方根とか三角関数無しで済ませようということ)。 O'Rourke「 Computational Geometry in C 」は少し古いが良書。 後者では、彌永昌吉「 数の体系 上 , 下 」が新書ながら一番詳細な記述だった。 全体的な流れをつかむのには足立恒雄「 数とは何か そして何であったか 」が良かった。 通底するのは、計算できない対象を扱うことへの反省。 コンピュータ関係はあまり読まなかったと思う。 Python の本を数冊と、「 プログラミングRust 」くらいか。 ※本のリンクはamazonアフィリエイトです。

2017年の読書

2018年が始まったので、2017年に読んだものの中で印象に残っているものを紹介する。 去年も書いていたのでとりあえず書き始めてはみたが、そこまで鮮烈な印象の本がなかったりする。 デイヴィッド・ホロビン「天才と分裂病の進化論」 ジュリオ・トノーニ / マルチェッロ・マッスィミーニ「意識はいつ生まれるのか」 前者は脂肪の代謝に注目して統合失調症と人類の進化を説明しようという試みで、 後者は脳がどれぐらい複雑になりどう機能すれば意識があると言えるかを測る理論について。 どちらも、定説とはなっていない理論の本。 定説となっていない分、勝手に空想を膨らませる余地があって楽しい。 その他、グリア細胞の本とかアルツハイマーの本とか、わりと2017年の読書対象は脳に関わるものが多かったかな。 マンガは、読み続けているものを除くと 白浜鴎「とんがり帽子のアトリエ」 が一推し。 この作者は 2013年の読書 に紹介した「エニデヴィ」の人。 つまりまあ新規開拓は特にめぼしいものはなかった。 数学の本は、幾何が絶望的に解っていないなあと思ったので幾何寄りのものが多かった。 IT系はドメイン駆動の本も読んだけど、一番記憶に残っているのは Elixir かもしれない。 ※本のリンクはamazonアフィリエイトです。

書原阿佐ヶ谷店の閉店

南阿佐ヶ谷の駅前にある書店、書原阿佐ヶ谷店が今日で閉店する。 入居しているビルの建て替えに伴って、ということだ。 考えてみれば自分の日々読む本の結構な割合はここで購入するものだった。 もちろん、図書館も使うし、マンガなら書楽の方が充実しているし、より学術よりのものは新宿紀伊國屋に出向いて買うことが多い。 重そうなものやマイナーなものは Amazon に頼んでしまうし、仕事帰りに渋谷のブックファーストやジュンク堂書店で買うこともたまにある。 それでも一番利用していた書店だった。 その昔、アルバイトをしていたこともある。 大学生になって最初に始めたバイトだった。 夕方から閉店までの時間帯、レジを打ち、返本の伝票を記入し(いまならバーコードか何かだろうけどそのころは手書きだった)、割引で書籍を購入し…。 週に何度も1万円を越える買い物をしていく常連客などもいて、 大人になったらあんな勢いで本を買ってみたいものだと思っていた。 まあ、現実は読書スピードがそこまで追い付かないわけだが。 最後に、書原さん今までありがとう。 ※ 書原という会社としては何店舗かあるので、閉店するのはあくまで阿佐ヶ谷店の話です。

2016年の読書

2017年が始まったので、2016年に読んだものの中で印象に残っているものを紹介する。 前にこんな感じで書いたのは 2013年の読書 だから3年ぶりだ。 ヘレナ・アトレー「柑橘類と文明」築地書館 読書メーター の記録によればこれが2016年の最初に読んだ本。 イタリア各地で栽培されているそれぞれの土地ごとの柑橘類を訪ね歩く紀行文で、 その後 ピエール・ラスロー「柑橘類の文化誌」一灯舎 を読んだり、 自分の中での柑橘類ミニブームの始まりとなった。 トリウム熔融塩炉関連本 これは 別に まとめたので省略。 エイドリアン・ベジャン, J.ペダー・ゼイン「流れとかたち」紀伊國屋書店 「有限大の流動系が時の流れの中で存続するためには、その系の配置は、中を通過する流れを良くするように進化しなければならない」というコンストラクタル法則を説明した本。 提唱者であるベジャンの会話のスタイルが YouTube に上がっているインタビュー動画などを見ても定義・例・説明がごた混ぜに進むものなので、続編の The Physics of Life でも(さらに)くどい文体なのは我慢しなければならないが、 考え方は面白い。 正しいとも正しくないとも判断しづらいのが、科学として成り立つ議論なのか、という引っ掛かりを生んでしまうからか、書評などでは否定的な意見も多い。 かげきしょうじょ!! マンガの中では特に斉木久美子の「かげきしょうじょ!」が印象的だった。 「かげきしょうじょ!」 1 , 2 が集英社のヤングジャンプコミックスで出ていたものが、 白泉社の花とゆめコミックスに移って(名前も「かげきしょうじょ!!」と ! が一つ増えて) 1 , 2 , 3 と刊行が続いている。 宝塚音楽学校をモデルとした学校の個性溢れる生徒たちの成長物語。 ※本のリンクはamazonアフィリエイトです。

トリウム熔融塩炉関連読書案内

ここ数ヶ月でトリウム熔融塩炉に関する本をまとめて読んだので、読書案内という形でまとめてみる。 ざっと、本当に簡単に、背景知識というか概略を説明しておく。 現在普通に見られる原子炉で使われている燃料はウラン235である。 ウラン235は天然のウラン中に約0.7%存在する同位体である。 残りほとんどはウラン238である。 燃料としてのウランはウラン235の比率を高めてある(場合が多い)。 燃料ではない方のウランすなわちウラン238に中性子が吸収された場合、核分裂せずに2度のβ崩壊によってプルトニウム239になる。 プルトニウム239は核分裂する。 ということで、使用済み核燃料の中にはまだ核分裂する物質が残っているので、集めて使おうという発想が出てくる。 とくに、新たに作られるプルトニウムを効率よく作りだそうというのが廃炉になるもんじゅなどで進められていた増殖炉という構想である。 一方のトリウムはウランより2つ原子番号が小さい元素で天然のトリウムの同位体構成はほぼ100%トリウム232である。 トリウム232はウラン238に似てそれ自体が核分裂するわけではなく中性子を吸収すると2度のβ崩壊によってウラン233になり、これが核分裂する。 そういうわけで、トリウム232をウラン233に転換しながらウラン233を核分裂させる状態を維持すれば、原子炉として運転できるわけである。 この反応ではプルトニウムはほとんど生み出されないし、ウラン233(と不純物として紛れ込むウラン232)は放射能が強く核兵器に転用しづらいという政治的安全性がある。 もう一つのキーワード「熔融塩炉」は、現在の原子炉が金属の容器に閉じ込めたウランを水で冷却する方式であるのに対し、 溶融塩という言うなれば溶岩のような高温の液体の中にトリウムを混ぜ込んで反応を進める方式である。 利点として、燃料交換が不要になること安全性が格段に向上することなどが見込まれている。 冷戦時代のアメリカで実験炉が運転されていたことはあるが、その後すっかり忘れ去られていた技術である。 福島での事故が起きてから世界的に原発への風当たりは強いが、 「原子力が全ていけないわけではない。悪いのはウラン軽水炉という現行の原子炉の基本設計である」 という意見の代表として注目されているのがトリウム熔融塩炉なのである。 前置きが長くなった...

竹取物語

日本最古の物語といわれる古典。 昼食時にときどき馬鹿話のネタになっているのだが、はじまりは映画の「かぐや姫の物語」の話をしていたときに、 「でも、あれって不死の薬を捨てに行った山だから『富士山』と呼ばれるようになったっていうのが大オチだよね」 「だれが?」 「おじいさんとおばあさん?」 と曖昧な記憶のまま話をしてしまったところからだった。 考えてみれば、おじいさんとおばあさんは薬も飲まずに臥せってしまったような記憶もあり、都から富士山まで旅するおじいさんおばあさんというのも不自然なのだった。 というわけで改めて読み直す。 というか断片的にではなく読み通すのは初めてかも。 1冊目: 原文 竹取物語 [kindle] 原文とあるが、やたら漢字に直してあって振り仮名もないため、非常に読みにくい。 「婚ふ」が「あう」と読むなんて、まず判らない。 踊り字も奇妙な感じに変換されて、まあお勧めはできない。 2冊目: 和田万吉「竹取物語」 [kindle] これは青空文庫に収められているものなので、kindle でなくても読める。 ただし、これは現代語訳のダイジェスト。 せっかく燕の巣に上った努力もかいなく終わった、という冗談が通じなくて竹取物語を読んだと言えるだろうか。 まあ、昔話としてのかぐや姫の話を知りたいだけならこれでもいい。  3冊目: 現代語訳 竹取物語・伊勢物語 結局紙の本を手にとってしまった。 現代語部分も参照しつつ、本文を読む。 1冊目の「婚ふ」となっていた部分は「あふ」と仮名書きになっていて、だいたい思った通りの原文。 最後に、本ではないが、 古本 竹取物語 〈新井信之旧蔵『竹取物語』校訂本文〉 というのが Google 検索で上位にあって、ちょっと違う本文を目にすることができる。 というような何個かを読んで、5人の求婚者の後に帝に言い寄られる部分があるのを認識したし、その中で影のようになって帝から身を躱すという特殊能力を発揮していることも知った。 おじいさんの年齢が、かぐや姫に結婚をせっつくときは70歳と自称していたのに、それから20年養育していたと主張する(そんなに時間が経っている計算にはならないように思うが)別れの場面では50歳ぐらいなのに老けて見えたと書かれていて全く一貫性がないのが、地味に気になる。 そして、かぐや姫が不死...

イリアス

ホメロスの「イリアス」と言えば古代ギリシアの古典なので読んだことがある人もいるかもしれない。 私は最近になって初めて手に取った。 理由はトロヤ群小惑星の名前を理解したかったから、という脇道からなのだが、この理由の方がよほど解説が必要そうなのでしておこう。 トロヤ群小惑星とは木星のラグランジュ点L 4 とL 5 の近辺に位置する小惑星群のことである。 この小惑星群の命名規則としてL 4 の方がトロイ戦争におけるギリシア方、L 5 がトロイ方の名前を付けることになっているのだが、一部混乱があって パトロクロスは、ギリシア側とトロイ側のルールが決まる前に命名されたため、L 5 の位置にあるにも関わらず、ギリシア側の名前がついている。他に、ヘクトルもL 4 の位置にあるにも関わらず、トロイ側の名前がついている (Wikipedia日本語版 木星のトロヤ群 )。 この説明を見て、パトロクロスとヘクトルって誰? と思って「イリアス」を読み始めたのである。 あらすじ(古典だからネタバレとか気にしない)はこんな感じ: トロイ戦争が始まって9年のある日、ギリシア方の総大将アガメムノンとアキレウスが戦利品たる女を巡って仲違いをする。 というかアキレウスがへそを曲げて戦場に出てこなくなる。 そのため当初ギリシア方が優勢に進めていた戦闘が次第にトロイ方に押されてくる。 この状況を何とかしようとアキレウスの親友パトロクロスはアキレウスの鎧を身に帯びて戦場に出るが、戦死してしまう。 アキレウスはようやく戦場に出るとトロイの大将ヘクトル(戦争の原因を作ったパリスの兄)を討ち、親友の仇を取る。 この話の切り取り方一つとっても絶妙である。 長いトロイ戦争を語るわけでもなく、その決着の有名な木馬の話をするでもなく、10年続くトロイ戦争の9年目の2,3週間のできごとを描く。 英雄アキレウスの自分勝手とも思えるサボタージュとその戦闘への影響が読者(というか聞き手か)をハラハラさせるし、 結局はアキレウスが仇を取って溜飲を下げさせてくれるし、 古典として生き残るだけのことはあると感心した。 ということで未読の方は是非。 ホメロス「イリアス」岩波文庫 上 ・ 下

2013年の読書

読んだ本は読書メーターに記録しているのだが、 mftさんの2013年の読書メーターまとめ を見てもさっぱりなので、ちょっと書いておく。 2013年に読んだ本で印象に残っているものベストスリー。 1位 黒川信重・小山信也「ABC予想入門」PHPサイエンス・ワールド新書 。 転職した4月に読んで、このブログにも関係する記事を書いたりしたので、記憶に残った。 ABC予想は強力すぎて嘘くさい予想だと思っていたが、京大数理研の望月教授が証明した(というプレプリントを公開した)という話題もあり、ある意味時事ネタ。 2位 戸部博・田村実「新しい植物分類学 I ・ II」講談社 。 現実世界を追認するだけの分類学なんて何が面白いの? と昔は思っていたものだが、こういう本を読んで DNA を使った系統の推測の話なのだということが理解できると、案外面白かった。 昔習った分類とは異なり今は「コケ植物」は単系統群でないのでセン類・タイ類・ツノゴケ類の総称でしかないとか、雑然とまとめられていたユリ科はいくつかの分類群に整理されたとか、ヤナギとスミレは近縁とか、新しい知識が得られた。 3位 白浜鴎「エニデヴィ 1」エンターブレイン 。 最後は絵が綺麗なドタバタマンガ。 基本的に自分のマンガの好みは絵が綺麗なことと楽しいことに尽きるのではないかと思う。 これら以外に読んでいたのはIT系とか地学系が多かったが、2014年は何を読むことになるだろうか。 ※リンクはamazonアフィリエイトです。