ないかもしれないな。まあ、あれだよ。適当な環と集合をもってきて、環の元で重みをつけて集合の元を足し合わせたものだよ。
— 重みとは何でしょう? 足し合わせるとは?
「重み」という言葉には意味は無いよ。環の元と集合の元とを対にして扱う、という気持ちだな。後なんだっけ、「足し合わせる」? 書き並べるに当たって、区切り記号が + ってだけだよ。
— 本当にそれだけですか?
ん?
— それだけなら、コンマで区切って並べても良いわけじゃないですか。
意外と鋭いね。そうだな、足し算と思いたい事情もなくはない。一つめは、並べる順番に意味が無いということだな。違う順番に書き並べても違うものとは思わないことにしておきたい。もう一つは、同類項をまとめてしまいたい。
— 同類項。
集合の同じ元を2回使う場面があったら、その足し算は係数の環の方に寄せてしまって一つにまとめられるだろう。だから、集合の同じ元を使った項をまとめられる項という意味で同類項と言うわけだ。
— 係数という言葉が出てきましたが…
重み重み。
— はい。その重みですが、今のところ環の元である必要性は無いように思えます。足し算しか…
いやそれはさあ、君。重箱の隅ってものだろ。現実的な使用に即して話しているわけだからさ。デフォルトは整数だし良く使われるのはむしろ体だったりするのに、何だ、アーベル群で良いだろうっていうことか。
— いけないでしょうか。
うーん。いけなくはない。いけなくはなさそうだが…
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