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短大ホモロジー

鎖複体。 加群の系列 Ci で、 Ci から Ci1 への境界作用素と呼ばれる準同型 di があり di1di=0 を満たす。

というわけなのだが、加群の解り易い例としてベクトル空間を考えることにする。 有限次元のベクトル空間は勝手に持ってきた有限集合を基底にして考えれば良いので、 つまり有限集合の系列を考えると解り易い。

唐突だが短大の年度ごとの学生集団を考えよう。 各空間はある年の学生全員を基底とするベクトル空間で、境界作用素は進級する作用だ。 もちろん留年する人はいないと仮定しないと2年で構成員が入れ替わるという想定にならず話が進まない。 添え字は年度にすると逆向きになってしまうので、マイナスの年度とか適当に決める。

ある年の1年生が翌年全員進級して2年生になり、さらに翌年いなくなった人が卒業したこの2年生の集団だけ、という状況ならば、 この2年生の年度において、系列は完全である。

ところが、卒業する2年生以外に、1年生からドロップアウトが出ると、di1 の核が di の像より真に大きくなり、 商空間であるホモロジー群がドロップアウトした人数次元のベクトル空間になる。

これを短大ホモロジーと呼んでも悪くはないだろう。 役には立たないけど。

さて、残りは言い訳です。 単体的複体などを書物で見て学び始めた頃、まあ解りにくかった、という記憶があります。 幾何学の中では単体的複体が一番シンプルなのかも知れませんが、鎖複体だけの話があったら理解の助けになったことでしょう。 積年の恨みというか、あの頃の自分に向けて。 もう一つは、自然数を見たらベクトル空間の次元と思えという思想に立脚すれば、ただの数列だってベクトル空間の列に見えるはず、という思考です。 ベクトル空間と有限集合の行き来は圏論の最初の方で憶える見方です。 ホモロジーも何も関係なく、実は最初は漠然とそういう文脈でした。 境界作用素としての性質を満たす例にするために短大とか持ち出しましたが、もちろん、2回の変化で元の何かが消えて別の何かが残るような過程はいろいろあると思います。

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