Brent による Aurifeuille 恒等式の計算方法を紹介していく。 Brent によれば Stevenhagen の方法 は互除法の係数爆発が起きるので次数の大きな円分多項式には適用できないとのことである。 Stevenhagen の方法は実質的に「\(\sqrt{k\zeta_n}\) が \(\mathbb{Q}[\zeta_n]\) に入っているならば、\(\zeta_n\) の多項式で表せる」という事実しか使わなかったが、Brent の方法ではもう少し特殊事情を考えて多項式の係数を決定していく。 あまり複雑な一般化は省いて、 平方因子を持たない \(3\) 以上の奇数 \(k\) に対し、\(n\) を \(k\equiv 1\pmod 4\) ならば \(k\)、そうでなければ \(2k\) とする。 \(\zeta = \zeta_{2n}\) とすると \(\mathbb{Q}[\zeta]\) の \(\mathbb{Q}\) 上のガロワ群は \(\left(\mathbb{Z}/2n\mathbb{Z}\right)^{\times}\) と同型である。 \(\mathbb{Q}[\zeta]\) に含まれる実2次体 \(\mathbb{Q}[\sqrt{k}]\) に対応する指数 \(2\) の部分群 \(H\) を見つけられる。 具体的には \(H=\left\{\pm a \in \left(\mathbb{Z}/2n\mathbb{Z}\right)^{\times} | 1 \leq a \leq n \land (\frac{k}{a})=1\right\}\) だ。 \[L(X) = \prod_{a\in H}(X - \zeta^a)\] を考えると実は \[L(X) = F(X^2) - \left(\frac{2}{k}\right) X\sqrt{k} G(X^2)\] となることが Schinzel によって示されているそうだ(論文を参照できていないので伝聞)。 つまり、偶数次の項を拾うと \(F\) が得られて奇数次の項を拾うと \(G\) が得られるのだ。 具体的な係数を得るには次のように考えればいい。 \(L(X)\) の係数は根が与えられているので解と係数の関係から計算できる。 そこに現れる根の対称...