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9月, 2021の投稿を表示しています

Aurifeuille 恒等式の計算方法 (Brent)

Brent による Aurifeuille 恒等式の計算方法を紹介していく。 Brent によれば Stevenhagen の方法 は互除法の係数爆発が起きるので次数の大きな円分多項式には適用できないとのことである。 Stevenhagen の方法は実質的に「kζnQ[ζn] に入っているならば、ζn の多項式で表せる」という事実しか使わなかったが、Brent の方法ではもう少し特殊事情を考えて多項式の係数を決定していく。 あまり複雑な一般化は省いて、 平方因子を持たない 3 以上の奇数 k に対し、nk1(mod4) ならば k、そうでなければ 2k とする。 ζ=ζ2n とすると Q[ζ]Q 上のガロワ群は (Z/2nZ)× と同型である。 Q[ζ] に含まれる実2次体 Q[k] に対応する指数 2 の部分群 H を見つけられる。 具体的には H={±a(Z/2nZ)×|1an(ka)=1} だ。 L(X)=aH(Xζa) を考えると実は L(X)=F(X2)(2k)XkG(X2) となることが Schinzel によって示されているそうだ(論文を参照できていないので伝聞)。 つまり、偶数次の項を拾うと F が得られて奇数次の項を拾うと G が得られるのだ。 具体的な係数を得るには次のように考えればいい。 L(X) の係数は根が与えられているので解と係数の関係から計算できる。 そこに現れる根の対称...

Aurifeuille 恒等式の計算方法 (Stevenhagen)

この Aurifeuille シリーズは2年ほどブランクがあって3回目。 前2回は Aurifeuillian 因数分解 と Aurifeuille 恒等式 について書いた。 今回は計算方法の一つを紹介する。 簡単にするためにあまり複雑な一般化は省いて、 平方因子を持たない 2 以上の整数 k に対し、nk1(mod4) ならば k、そうでなければ 2k とする。 このときある整数係数多項式 FG により円分多項式 Φn(X) を F(X)2kXG(X)2 という形(Aurifeuille 恒等式)に書ける。 この FG を求める方法を見ていきたい。 k=5 の時のように整数 Φn(k) の因数分解をして k 進数展開から求めるのは、いろいろ問題がある。 整数の因数分解自体が難しいし、k 以上の係数や負の係数が必要になると破綻してしまう。 一般的に使える方法は、もっと代数的な議論だ。 前に見たように kζn が Q[ζn] で平方数になっているというのがキーだった。 ここで紹介する Stevenhagen の方法は、kζnQ[ζn] に入っているならば、ζn の多項式で表せるという事実に基づいている。 具体的な kζn を表す ζn の多項式が H(X)=1a2n(a,2n)=1(ka)=1X(a+1)/2 と与えられる。実際 Xζn を代入すると、 1/2 乗は ζnζ2n にし、 +1 の分の ζ2n で括った残りは Q(ζ2n) から Q(k) へのトレースになりそれ...